3月16日、帝国ホテル東京にて、第4回ヨーロピアン・サステナブル・ワインセミナーが開催された。今回特集されたのはイタリア、ピエモンテ地方のバルベーラ・ダスティとスペインのラマンチャワイン。
イタリアワインの講師をつとめたのはイタリアワイン大使であり。クアトロヴィーニ代表の永瀬喜洋さん。ピエモンテ地方といえばネッビオーロで造られるバローロやバルバレスコが有名だが、実はピエモンテで一番栽培されている品種はバルベーラ。「アスティやモンフェラートからピエモンテのワイン造りが始まったため、バルベーラ・ダスティの歴史を知ることはピエモンテを知る上で重要だ」と永瀬さん。
このイベントを主催したのはヨーロピアン・サステナブルワイン・キャンペーン。EUに設立された連合で、原産地呼称(Protected Designation of Origin)ワインのプロモーションをアジア各国で行なっている。
PDOというのはフランスではAOC、イタリアの場合はDOC、DOCGにあたるものだが、「ヨーロッパの中でもイタリアのDOCGの規則が一番厳しいのでは。よくイタリアのワインは味が変わると言われるが、イタリア人は変わることに何の恐れもなく、スピーディに変化できる。法律を厳しくしないと自由に抜け道をつくる人たちだ。」と永瀬さん。イタリアではコロナの規制も日本とは比べものにならない厳しさがあったという。
バルベーラ・ダスティはバローロ、バルバレスコの東側に位置し、170の村がエリアに制定されている。土壌は「テッラ・ビアンカ」と呼ばれる白い土壌が特徴的で、バローロやバルバレスコは粘土質土壌が多いのに対し、アスティは砂質土壌が多くなる。バルベーラ・ダスティの中でも特に優れたワインを造り、バルベーラの聖地と言われるのがニッツァ・モンフェラート周辺の村で、2014年にDOCGニッツアが誕生。バルベーラの特徴は酸が強く、タンニンが低いこと。近年のバローロやバルバレスコは樽熟成が敬遠されつつあるが、バルベーラはタンニンが低いため、小樽との相性がよく、あえて樽にいれてタンニンをつけることが多いという。
バルベーラは、フルーティで軽やか、すっきりした酸の絶妙なバランスが特徴的だ。エレガントでタンニンもやわらかく、料理にも合わせやすい。自身のワイナリーも畑も持たないが、ピエモンテの誰もがすばらしさを認めているフランコ・M マリネッテイの「モントリュック バルベーラ・ダスティ スーペリオーレDOCG 2015」は、非常に味わい深く複雑でエレガント。滋味深さすら感じるワイン。軽やかなでフルーティなバルベーラでここまで深みが出るというのが驚きだ。バルベーラ・ダスティは値段もわりと手頃で、たいていのワインショップに一本は置かれている。お手頃価格で質の高いイタリアワインを探している方は、ぜひ一度DOCG バルベーラ・ダスティを手に取ってみてほしい。