パリの国際農業展示会、サロン・ド・ラグリクルチュールは52年前から毎年2月に開催される伝統的なサロン。これはフランスで最も人気がある展示会の1つで、60万人を超える人たちが有名な肉牛や鶏たちを眺め、羊たちを撫で、農産物を試食するために訪れる。
フォアグラやサラミなど、3500以上もの製品が多くの審査員たちから選ばれるコンクール・ジェネラル・アグリコル(パリ農業コンクール)が開催されるのもこちらのサロン。予選を通過した1500本のワイン、そして2千頭の動物の中から選ばれた最高の製品は1年間金メダルのシールを貼ることが許可される。これは商品の販促に非常に有効で、「パリ農業コンクールで金賞受賞」のワインは日本でもよく販売されている。
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パリの一画が農場さながらに姿を変える、サロン・ド・ラグリクルチュールはパリの人たちが田舎の文化に今でも愛着を持つ証といえる。ここでは生産者が飼育する動物の質や生育状況など、こと細かな説明を聞くことが出来る。バスク地方からアルザス、プロバンスからピカルディに至るまで、フランス中の全ての地方の特産品も味わえる。
とはいえフランス人もだまされはしない。もはや家族経営の農場というロマンティックな光景は消えつつあり、今問題となっているのは大規模集約型農業だ。フランスには約50万の農地があるが、この20年で農地の数は半減した。
パリの北100キロの場所に作られた「千頭の牛の農場」(Ferme de 1000 vache)は、この数ヶ月で多くの疑念を生み出した。大規模なアメリカ型システムを真似た方法で生み出されたのは、牛乳の販売量よりも、牛糞のメタンガスからできる電力の販売量の方が勝るという結果だった。
現在のフランスの農業は農薬を最も使用する形で行われ、どの政府もそれを止められなかった。2008年にフランス政府が策定したエコフィト(Ecophyto)というプランでは、その先10年間で農薬使用を半減することを目指したものの、実際には2010年から2013年には使用量が5%増えてしまった。結果として政府は削減目標の年を2018年から2025年に延期した。こうした事態は鳥や蜂たちが農場から姿を消し、硝酸塩を使った化学肥料で汚染される河川にとっても問題のままである。
サロン・ド・ラグリクルチュールの主催者は利益追求に忙しいようだ。彼らはマクドナルドや安売り大手のLIDLの大規模なスタンドを受け入れた。毎年入場料(13€)と生産者の出展料は上がっていくため、わざわざそこに行こうという気持をそいでしまう。今年のサロンは69万1千人の来場者数で、70万人の壁を超えられなかった。