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世界のパブリック・ライフ活性化で活躍する フェルモブ社のビストロ・チェア

6月16日〜17日の2日間、東京、広尾のフランス大使公邸で、「フレンチライフスタイル展 ART DE VIVRE A LA FRANCAISE TOKYO 2022」が開催された。フランス流の豊かな暮らしを代表する17のブランドが集合し、来日したフランス人担当者も多かったため、フランスにいるかのような気になれる空間だった。

大使公邸のゆったりと包み込むような雰囲気を活かした広々とした会場にはソファー、食器、壁紙、布製品など様々なフランス製品が展示されている。5年前に設立され、海外進出は日本が初めてという「エリゼ」のブースには、トリコロールをイメージしたフランス雑貨が並ぶ。こちらはなんとエマニュエル・マクロン大統領の提案で始まった、エリゼ宮が提案する官邸ブランドだ。フランスの文化遺産として有名な織物のジャガール・フランセやマルセイユの石鹸、クスミティなど、数々のフランス企業とコラボして、エリゼ宮でも実際に使われている。赤や青のハーブが入ったクスミティーの紅茶は大統領夫人が愛飲しているという。伝統的な企業とコラボしながら、モダンなニュアンスを含まるという絶妙なセンスの良さを感じるフランス産の雑貨たちは、フランスでもクリスマスや誕生日などのプレゼントに重宝されている。こちらは現在日本での販売を検討中だ。

トリコロールをモチーフにしたエリゼの商品はフランスの代表的企業とコラボして開発

17の出展ブランドの中でも、特に注目された企業のひとつが、屋外用の家具を製作しているフェルモブ社で、庭に面したテラスに数々のインテリアが並ぶ。来日した海外輸出マネージャーのフランソワ・デュペ氏が、フェルモブの魅力について語ってくれた。

ビストロチェアの歴史について

フェルモブ社を象徴する作品のビストロ・チェアはすでに世界中の公共空間に欠かせない存在である。ニューヨークのタイムズスクエアでは赤のビストロチェアが、ブライアントパークでは緑のチェア、丸の内仲通りでは黄色のチェアが使われており、夏のパリの風物詩となったパリ・プラージュではカラフルな椅子やテーブルが賑わいを演出している。

ニューヨーク、ブライアントパークの緑色のビストロ・チェア

モスクワから南アフリカまで世界各地で愛されているフェルモブの椅子だが、実は1989年までは小さな会社で、従業員は12名だけだったという。その年に現在のCEOが引き継ぎ、デザイン、イノベーション、ワールドワイドというコンセプトをもとに会社を大きくしていった。

パリの夏の風物詩、セーヌ川やウルク運河沿いを海辺のように変えるパリ・プラージュでもビストロ・チェアが使われている

ビストロチェアは、1889年、エッフェル塔と同じ年に誕生した。重さ6.5キロで畳むと薄く、持ち運びや収納に優れている。世界の公共空間で愛される秘訣は、なんといっても動かしやすいこと。それは単に片付けやすいというだけでなく、公共空間を訪れた個人が自分の好きなように使えるというのもあるだろう。ビストロ・チェアは椅子だけでなく机もセットになっており、固定されたベンチに比べて圧倒的に自由度が高いため、ニューヨークのポケット・パークではパソコン仕事をしに来る人もいる。

ニューヨーク、タイムズスクエアの赤いビストロ・チェア

ビストロ・チェアは全部で23色あり、その場所の風景と馴染む色も見つけやすいのも魅力のひとつ。緑豊かなブライアントパークでは濃い緑色を用いて自然に溶け込ませ、丸の内では新色のミエルという黄色の椅子を使用することで、街の雰囲気がぐんと明るくなった。

丸の内仲通りの黄色いビストロ・チェア

世界中の公共空間やカフェ使われているとはいえ、実際にはフェルモブ社の商品の8割は個人向け。ピクニック大国のフランスでも、20世紀初頭までは外で座って時を過ごす習慣はあまりなく、庭というのは日本の回遊式庭園のように散歩をする場所だったという。フランソワさんの両親世代は、人を招く時は主に冬で、きちんとした格好に着替えて室内でもてなした。しかし今では夏に人を呼び、バーベキューをし、リラックスした格好でのんびりするのが主流である。フランスではますます庭をひとつの部屋としてとらえ、そこに時間やお金をかける傾向があるという。フェルモブの椅子は耐久性にも優れ、ビストロチェアは家庭での使用では15年ほどもつそうだ。ソファーにも強い撥水加工がされ、専用カバーも存在するため、悪天候にも強い仕組みになっている。

日本でもコロナを機に注目されつつある外での時間やカフェのテラス。心地よい屋外空間を演出するには、とりあえず外に椅子を置きさえすればいいというわけではなく、デザインや耐久性も重要である。それにしてもなぜここまで世界の公共空間再編とフェルモブの椅子は密接に関わっているのだろうか?フランソワさんに尋ねてみると、競合がいないわけではないが、他者はフェルモブほどクリエイティブではないとのこと。常に新しい色やモデル、モードを作り出しているのがフェルモブであり、他と比べてみた時に圧倒的に選ばれやすいのだろう。

今後は日本でも徐々に広場や公園、駅前などの公共空間の活性化が進んでいくだろう。その時に確実に活躍してくれるフェルモブの椅子。東京には30年以上フェルモブ社と取引している代理店、ニチエスのショールームがあり、公共空間活用の社会実験の際は貸出できることもあるそうだ。気になる方はぜひ問い合わせてみてほしい。

ニチエス東京

渋谷区千駄ヶ谷3−50−11明星ビルディング1階 TEL 03 5413 3341 www.nichiesu.com

エリゼ 連絡先:Agence Arboresens, Wilfried HUBERT氏 wilfried@arboresens.fr

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