paris-bistro japon

ラジオディズ Radiodays

パリのカフェは騒々しい。テラスで盛り上がる人達に、ギャルソン達の叫び声、エスプレッソの粉をガンガン叩く音・・・カフェが愛されているのはよいものの、ほっとしたいと思った時に最適な店を見つけるのは難しい。そんな中、サン・マルタン運河付近にできた「ラジオディズ」は貴重な店だ。オープンして数日で常連客ができるほど、この店にはゆったりしたあたたかい空気が流れてる。

 
ビボさんは20年来の友人と共にこのカフェを秋にオープンさせた。「17歳の頃からの夢だったんです。いつか2人でカフェをしたいねって。でも彼は科学者になり、僕は広告代理店で働くようになりました。けれども広告の仕事に魅力を感じられず、パリにはあまり美味しい珈琲を飲ませる店がないと思って、やっぱり夢を実現することに決めたんです。」この店には文字通り幸せな空気が漂っている。上質なコーヒー豆の匂い、次々に焼き上がるクッキーの甘い香り。そんな香りと目新しさに惹かれて通りすがりのおばさん達が声をかける。「この店は何?」「カフェですよ・・・」

IMG_0687
クッキーやグラノーラ、サンドイッチ、サラダなど店内で提供されるものは全て有機栽培の材料を使って手作り。本日のクッキーはアプリコット味とチョコレート味など、日によって変化する。ビボさんは慣れた手つきでくるっと生地を丸めていき、カウンター内のオーブンで焼き上げる。「僕が育った家には大きなキッチンがあって、祖母も母も料理を大事にしてました。誰かがいつもキッチンにいて、テーブルもあり、そこで多くの時間を過ごしていたんです。僕も昔から料理は好きでした。好きこそものの上手なれですよね。」とビボさん。皮はサクッ、中身はふんわりとした優しい甘さのクッキーはどれも1€。魔法のように美味しいクッキーがこんな値段で食べられる店はパリでも珍しいだろう。

そのクッキーに合うのはもちろんコーヒー。豆の仕入れ先はパリの新スタイルのカフェ代表格の「クチューム」だ。フィルターコーヒーの豆はシングルオリジンを、エスプレッソ用の豆はブレンドを使用。ビボさんのこだわりは半端なく、エスプレッソマシンを使う際には豆をいちいち計量する程だ。エスプレッソにごく少量のミルクを入れたマキアートは香り高く、味わいも柔らかくて穏やかな気分になれる。マグカップで提供されるフィルターコーヒー(3€)は酸味と苦みのバランスがよく、飲んだ後に口いっぱいに広がるやさしい余韻がなんとも心地よい。


大きなキッチンカウンターを囲むこの店は、客同士の距離も小さく、注文した品を待つ間に自然に会話が生まれていく。奥の席で幸せそうにコーヒーを飲む女性がパリの新しいカフェ事情を事細かに教えてくれた。美味しい珈琲と穏やかな時間、そこでのちょっとした出会い、そんな時を求めてパリのコーヒー好きたちはカフェ行脚をしているという。クラシックなカフェやビストロにちょっと疲れてしまったら、是非ラジオディズを目指してみてほしい。扉を開けると穏やかでリラックスしたパリのサードプレイスが待っている。

RADIODAYSラジオディズ
住所:15 rue Alibert 75010 Paris サンマルタン運河からすぐ
電話:06 16 23 62 09
営業時間:朝8時半~19時
メトロ: 11番線  Goncourt

 

Quitter la version mobile